DSP(Demand-Side Platform)は、広告主が複数の媒体に対して自動的に広告を配信できるプラットフォームです。
RTB(Real-Time Bidding:リアルタイム入札)という仕組みを通じて、1インプレッション単位で最適な広告を配信します。
媒体を個別管理する必要がなく、データドリブンな広告運用を実現できるのが最大の特徴です。
インターネット広告分野の調査・分析を行う株式会社しごとウェブ編集部が、中立的な立場で内容を整理・解説しています。
最終更新:2025-10-25
1. DSP広告とは
DSPは広告主側(Demand Side)のためのシステムで、複数の広告枠を横断的に管理し、
入札・配信・効果測定を自動で最適化します。
一方で、媒体側(Supply Side)は「SSP(Supply-Side Platform)」を利用して広告枠を提供します。
DSPとSSPがRTBで接続されることで、数十億件の広告在庫から最適な枠を瞬時に選定し、ユーザー単位で最も効率的な配信を行います。
2. 仕組み
- RTB(リアルタイム入札): 1インプレッション(表示)ごとに広告主が自動で入札し、最も高い入札価格+関連性スコアを持つ広告が表示されます。
- データ連携: 1st Party(自社顧客データ)・2nd Party(提携企業データ)・3rd Party(外部データプロバイダー)を組み合わせて、セグメント別に配信。
- ブランドセーフティ: 不適切なサイト・コンテンツを除外し、ブランド毀損リスクを回避。
- ビューアビリティ: 「実際に見られたか」を可視化し、表示品質を確保。
- 不正トラフィック対策(IVT): ボットアクセスなどの無効インプレッションを排除。
3. 運用の基本
- 目的設定: コンバージョン(CV)、サイト来訪、リーチなど目的に応じた最適化アルゴリズムを選定。
- フリークエンシーキャップ: 同一ユーザーに何回まで広告を見せるかの上限設定。過剰配信を防ぎ広告費を最適化。
- 配信面管理: 不適切な媒体・アプリ・カテゴリを除外し、配信面のクオリティを維持。
- ビューアビリティ/IVTモニタリング: 配信後も常に「見られたか」「安全か」を監視。
4. 運用のコツ
- 静止画・動画など複数フォーマットを用意し、DSPの自動最適化に対応。
- 初期段階ではターゲットを広く設定し、AIの学習を促進させてから精緻化。
- サードパーティCookie廃止に備えて、1stパーティデータ(自社CRMやWeb行動履歴)を活用した配信設計を進める。
- データクリーンルーム(DCR)連携によるプライバシー対応型ターゲティングも有効。
5. 費用の目安
DSP広告はCPM(1,000回表示あたりの単価)課金が主流で、
一般的にはCPM 500〜2,000円、CPA(成果単価)は3,000〜10,000円程度が目安です。
広告在庫やセグメントの競争度、季節によって変動します。
6. 主な活用シーン
- ブランド認知(大規模リーチキャンペーン)
- リターゲティング(サイト訪問者への再訴求)
- 興味関心ベースのオーディエンス配信
- 動画・ディスプレイの横断最適化
7. 注意すべき法令・ガイドライン
- 個人情報保護法: Cookie・広告IDなど識別子データの取得・活用・第三者提供時の同意管理が必要。
- 電気通信事業法: 2023年改正により「外部送信規律」対応が必須。
- 景品表示法: 表現内容に合理的根拠を持たせ、誇大表示を避ける。
- JIAA・IAB Japan ガイドライン: 広告品質・ビューアビリティ・IVT測定の業界標準を順守。
8. よくある質問
Q. DSP広告とは何ですか?
A. DSP(Demand Side Platform)広告とは、広告主側が複数の媒体に一括で入札・配信できる仕組みです。ユーザーの行動履歴や興味関心に基づき、最適なタイミング・場所に広告を自動で配信します。
Q. リスティング広告との違いは何ですか?
A. リスティング広告が「検索キーワード」に基づいて配信されるのに対し、DSP広告は「行動データ・属性情報」に基づいて配信されます。検索していない潜在層にもリーチできるのが特徴です。
Q. 導入メリットは?
A. 多数のメディア枠へ自動配信でき、リアルタイム入札(RTB)で広告費を効率化できます。加えて、リターゲティング配信やクロスデバイス分析により、成果の最大化が期待できます。
Q. 広告代理店に運用を依頼する際のポイントは?
A. DSPごとに強みが異なるため、運用実績・ターゲティング設計・レポート精度を確認することが大切です。代理店によっては自社開発DSPを持つ場合もあり、透明性と費用対効果の両面で比較検討が必要です。
9. まとめ
DSP広告は、多数のメディアに横断配信しながらリアルタイムで最適化を行う運用型ディスプレイ広告の中核です。
成功の鍵は、「目的設定・データ活用・ブランドセーフティ」の3点。
計測環境(タグ/CAPI)を整備し、透明性ある運用体制を構築することで、広告ROIを最大化できます。
監修:株式会社しごとウェブ 編集部|公開日:2025年10月25日
