ネット広告代理店の契約トラブル事例集

ネット広告代理店との契約に関するトラブルは年々増加しています。
料金体系や運用内容が不透明なまま契約してしまうと、解約や返金などでトラブルに発展することがあります。
ここでは、実際に寄せられた事例や傾向をもとに、代表的なケースと対策をまとめました。

本ページは、公開情報および当サイトに寄せられた相談内容をもとに、株式会社しごとウェブ編集部が中立的な立場で整理・解説しています。
事例はあくまで一般的な傾向をまとめたもので、特定企業への評価や断定を目的としたものではありません。 契約内容や対応方法は事案ごとに異なるため、個別の判断には公式情報や専門家への確認を推奨します。

最終更新:2025-10-30

1. 成果が出ないのに費用だけが発生するケース

事例: 「月額◯万円の運用費を支払っていたが、クリックや問い合わせが増えず、成果報告もあいまいだった。」
原因: キャンペーン設計やキーワード選定が不適切なまま放置されていた。
対策: 契約前に運用方針書(KPI設定・改善方法・レポート頻度)を確認する。
管理画面を共有してもらい、実際の入札状況やコンバージョン設定を常に確認できる体制を整える。

2. 「最低契約期間」が長く、途中解約できないケース

事例: 「6か月契約と説明されたが、実際には12か月の自動更新契約になっていた。」
原因: 契約書に“自動更新”や“途中解約不可”の条項が細かく記載されていた。
対策: 契約書を必ず全文確認し、不明点は書面で質問する。
特定商取引法 第11条(誇大広告等の禁止)、第12条(表示義務)にもとづき、誤解を招く契約条件は無効とされる可能性がある。

3. 「LP無料制作」を理由に高額な請求を受けるケース

事例: 「LP無料と聞いて契約したが、実際には運用費や広告費に制作料が上乗せされていた。」
原因: “無料”の根拠を契約書や見積書に明記していなかった。
対策: “無料”や“格安”という表現には景品表示法 第5条(不当な表示の禁止)が適用される。
無料条件の根拠と期間を必ず明示してもらう。

4. 成果保証をうたった契約トラブル

事例: 「“必ず売上が上がる”“問い合わせ数◯件保証”という言葉を信じて契約したが、実現されなかった。」
原因: 広告成果の保証は原則として行えず、誇大広告と見なされる可能性が高い。
対策: 契約書や提案書に「保証」などの断定的文言がある場合は、消費者契約法 第4条(不実告知・断定的判断の提供)を確認する。
実績データの開示や根拠資料を求めることが重要。

5. データやアカウントを引き渡してもらえないケース

事例: 「解約後、広告アカウントやアクセス解析データを引き渡してもらえなかった。」
原因: 契約時にデータの所有権や引き渡し条件を明確にしていなかった。
対策: 契約書に「データ・アカウントは広告主所有とする」旨を明記する。
下請法 第4条(不当な取引行為の禁止)にもとづき、合理的理由のない引き渡し拒否は不当行為に該当する可能性がある。

6. コミュニケーション・報告の不備

事例: 「担当者と連絡が取れない」「レポートが遅い」「説明が不十分」などの不満が多い。
原因: 契約内容に報告頻度や方法が定められていない。
対策: 契約前に報告体制(週次・月次・ミーティング方法)を明確にしておく。
実務担当者の所属・経験・対応時間を確認することも大切。

7. 返金・解約をめぐるトラブル

事例: 「広告費の残額が返金されない」「途中解約なのに全額請求された。」
原因: 返金ポリシーが明文化されていなかった。
対策: 特定商取引法 第12条(表示義務)により、料金・返金条件は広告・契約書に明示する必要がある。
不当な請求がある場合は、消費者庁や都道府県の消費生活センターに相談する。

8. トラブルを防ぐためのチェックリスト

  • □ 契約書・見積書・提案書をすべて保存しているか
  • □ 管理画面・レポートを毎月確認しているか
  • □ 返金・途中解約の条件を理解しているか
  • □ 法令遵守・ガイドラインを明記した代理店か
  • □ 広告主側も改善提案・内容確認に参加しているか

9. 社内で不正を知った場合の対応

社内で不正や虚偽経理などの行為を知りながら黙認することも重大な問題です。
虚偽の書類作成や改ざん、隠蔽に関与した場合は、共犯や幇助、隠蔽行為として刑法上の処罰対象となるおそれがあります。
一方で、不正を見過ごさずに行政機関へ通報した社員は、 公益通報者保護法(法令全文) および、消費者庁による制度概要 によって保護されます。

公益通報者保護法は、企業内の従業員が不正行為を内部または行政機関へ通報した際に、不利益な扱い(解雇・降格・報復など)を受けないようにする法律です。
勇気をもって正しい情報を届けた行動は、刑事責任の軽減や行政上の情状酌量にもつながる場合があります。

自ら不正に加担しないこと、そして知り得た不正を正しく報告することが、最も安全で誠実な行動です。
組織の中にいても「見て見ぬふり」は許されません。誠実な告発こそが、企業の健全化と社会正義を守る力となります。

10. 公的な相談・通報先

万が一、広告代理店との取引や契約に関して法令違反・不当勧誘・虚偽説明などの疑義がある場合は、
下記の公的機関へ直接ご相談ください。
※当サイトは相談・通報の代行は行っておりません。

よくある質問

Q. ネット広告代理店と契約した後にトラブルが発生した場合、どうすればよいですか?

A. まずは契約書や見積書などの書面を確認し、契約内容と請求内容に不一致がないかを整理しましょう。説明不足・虚偽説明・成果未達などがある場合は、書面でのやり取りを記録し、消費生活センターや弁護士への相談を検討してください。

Q. 解約したいのに「途中解約できない」と言われました。対応方法は?

A. 契約書の「解除条項」や「期間の定め」を確認してください。説明を受けていなかった拘束期間実態のない成果保証がある場合、特定商取引法や消費者契約法に抵触する可能性もあります。主要な法律とガイドラインもあわせてご確認ください。

Q. 広告費を支払ったのに、実際に配信されていないようです。

A. 管理画面の共有を求め、出稿履歴・レポート・請求明細の整合性を確認しましょう。広告運用の実態が不透明な場合は、不当請求や業務委託契約違反の可能性もあります。証拠を保存の上、弁護士または税務署への相談も検討しましょう。

編集・制作:株式会社しごとウェブ 編集部
公開日:2025年10月30日