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広告費の返金請求ガイド

※本ページは一般的な情報提供であり、特定事案についての法的助言ではありません。個別判断が必要な場合は専門家(弁護士等)へご相談ください。

最終更新:2025-11-2

1. 返金トラブルはなぜ起きるのか

ネット広告の委託では、契約書や提案書の曖昧さ、成果報告の不備、誤解を招く説明(事実上の成果保証の印象付けなど)により、「約束と違う」「説明が不十分」といった不満が生じやすく、返金請求に発展することがあります。

2. 返金請求の法的根拠(概要)

  • 民法415条:債務不履行責任 … 約束した業務・水準に至らないなど契約違反がある場合、損害賠償や返金の根拠になり得ます。
  • 民法703条:不当利得 … 対価に見合う給付がなく利益のみ得ている場合、返還請求の根拠になり得ます。
  • 景品表示法・特定商取引法 … 誤認を招く表示や虚偽説明があれば、行政法的な違反や是正の対象となる可能性があります。

重要なのは、「契約内容・説明内容」と「実際の履行」のギャップを証拠で示すことです。

3. 実務ステップ:返金請求までの道筋

3-1. 証拠の整理

  • 契約書・見積書・提案書・注文書
  • 運用報告(レポート)・ダッシュボードのスクリーンショット
  • メール・チャットの履歴(説明・約束・運用実態がわかる箇所)
  • 請求書・領収書・振込記録

時系列で並べ、「どの説明(約束)に照らして、どの点が不履行・不当だったのか」を見える化します。

3-2. 協議・交渉

まずは事実関係の整理と返金額の根拠(算定方法)を明示し、冷静に協議します。議事録化(メールで要点を確認)し、「是正・返金の期限」を区切るのがポイントです。

3-3. 内容証明郵便(例の骨子)

【件名】返金請求のご通知
【宛先】○○株式会社 代表取締役 ○○ 様
【本文骨子】
1)契約・発注の経緯と対象期間
2)貴社説明・約束事項(資料・日時)
3)実績(報告・履行状況)/齟齬ポイント
4)法的根拠(民法415・703 ほか)
5)返金請求額・根拠、支払期限
6)期限までに履行がない場合の対応(法的措置・通報等)

内容証明は事実の摘示を淡々と。誇張や感情的表現は避けましょう。

4. 拒否された場合の選択肢

  • 専門家相談 … 弁護士会の法律相談、法テラス。
  • 紛争解決手続 … 交渉/調停/訴訟(少額訴訟を含む)。
  • 行政・通報 … 景表法等の疑い → 消費者庁、詐欺等の疑い → 警察、返金不実行・不正計上の疑い → 税務署など。

並行して、同様被害の収集(証言・資料の存在確認)が有効な場合もあります。

5. よくある反論と対処の要点

  • 「成果は保証していない」 … 説明・資料の文言と全体の誘導(誤認)に注目。期待形成の経緯を証拠で示します。
  • 「最低限の作業はした」 … 契約目的達成に資する実体があったか、手法・稼働・検証の実態で反証。
  • 「返金条項がない」 … 契約文言だけでなく、民法や不当利得の適用も検討対象。

よくある質問

Q. 返金条項が契約に無くても請求できますか?

A. 契約文言に返金条項がなくても、債務不履行(民法415条)不当利得(703条)等の民法上の根拠で返還を求め得る場合があります。事実関係と証拠の整理が重要です。

Q. 内容証明は必須ですか?

A. 必須ではありませんが、事実・主張・期限の明確化と「到達」の証拠化に有効です。感情的な表現を避け、事実に即して記載しましょう。

Q. 並行して通報しても問題ありませんか?

A. 個別事情次第ですが、景品表示法特定商取引法違反の疑いがあれば行政通報を検討できます。通報の有無・タイミングは弁護士へご相談ください。

7. まとめ

返金は「揉めたら終わり」ではありません。契約・説明・実務の整合性を証拠でもって検証し、相当な手続きを踏めば、適切な回復は十分現実的です。


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