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違約金・中途解約条項の法的解説

※本ページは一般的な情報提供です。個別の契約については専門家へご相談ください。

最終更新:2025-11-2

1. 違約金・中途解約条項とは

広告契約・制作委託などで「○か月以内の解約は違約金○円」「途中解約の返金不可」等の条項が定められることがあります。
しかし、これらが消費者に一方的に不利益を課す場合、消費者契約法第9条・第10条により無効となることがあります。

2. 法的根拠(要旨)

  • 消費者契約法 第9条:過大な損害賠償の予定や違約金は無効。
  • 消費者契約法 第10条:信義則に反し、消費者の利益を一方的に害する条項は無効。

3. 無効となりやすい典型例

  • サービス未提供分があっても全額を違約金として請求
  • 返金不可を包括的に規定(個別の合理的根拠・計算式がない)
  • 「残期間分の広告費+手数料+違約金」を重複計上する複合条項
  • 違約金額の算定根拠が不明確/実損を大きく超える

4. 契約前に確認すべきポイント(クライアント向け)

  • 違約金の金額・算定根拠は妥当か(実費相当か)
  • サービス未提供分の返金有無が明記されているか
  • 見積・提案内容と条項が整合しているか
  • 解約フロー・返金時期・手数料等が具体に書かれているか
  • 口頭説明と文面に齟齬がないか(書面で確認

5. 事業者側の実務ポイント

  • 違約金は想定損害の範囲内で設定し、根拠を注記
  • 中途解約時の按分計算・未提供分の扱いを明確化
  • 「返金不可」の包括規定は避け、個別事情に応じた条項へ
  • 重要条項は事前に書面で説明・同意を取得

6. 参考:条項フォーマット例(抜粋)

【中途解約と精算】
甲(顧客)は、書面通知により本契約を中途解約できる。
この場合、乙(事業者)は、履行済み部分の対価および合理的実費相当額のみを請求できる。
提供未了のサービス対価は精算のうえ返還する。
違約金を定める場合、その金額は乙の通常生ずべき損害の範囲内とし、算定根拠を明記する。

7. よくある質問

Q. 契約書に「返金不可」とあれば、必ず有効ですか?

A. いいえ。消費者に一方的に不利益で、実損を大きく超える場合は消費者契約法第10条により無効となる可能性があります。未提供分や実費超過分は返還対象になり得ます。

Q. 違約金の妥当性はどう判断しますか?

A. 実際に通常生じる損害を基準に、算定根拠(計算式・工数・外注費)の合理性で判断します。根拠が曖昧な高額設定は第9条により無効とされる余地があります。

Q. 途中解約時、手数料や制作費は請求できますか?

A. 履行済み部分の対価や合理的実費は請求可能ですが、未提供分の包括的な不返還や二重取りは不当です。契約時に精算ルールを明記しましょう。


7. まとめ

違約金・中途解約条項は、合理的な実損の範囲を超えると無効となります。
契約前に根拠の明確化と書面確認を徹底し、透明性の高い精算規定を整えましょう。

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