※本ページは一般的情報の提供を目的としています。個別事案は弁護士等の専門家にご相談ください。
最終更新:2025-11-2
1. 典型パターンとリスク
- 見積依頼・説明聴取だけなのに後日「契約成立」と主張して請求
- 契約書や発注書がないのに「口頭合意」として請求
- 合意前に無断出稿し「実費」を請求(同意なき履行)
- 「払わなければ法的手段」「信用を傷つける」等の威迫
これらは契約の成立要件(合致する意思表示)を欠き、支払義務が認められないのが原則です。
2. 関連法令の要点
- 民法96条(詐欺・強迫による意思表示の取消)…詐欺・脅迫で締結された契約は取り消し可能。
- 民法703条(不当利得)…契約がないのに受領した金銭は返還義務。
- 刑法246条(詐欺罪)…欺罔により財物を交付させれば処罰対象。
- 刑法222条(脅迫罪)…害悪の告知で義務のない支払いを迫れば処罰対象。
- 特定商取引法(不実告知・威迫的勧誘の禁止)…虚偽説明や威迫行為は行政処分の対象。
3. 契約成立の有無を確認するチェック
- 署名・押印済みの契約書/注文書はあるか
- メール・チャット等で発注の明示同意があるか
- 開始日・対価・支払条件・範囲が合意済みか
- 録音・議事録・画面キャプチャ等の客観資料があるか
いずれも欠く場合、支払義務なしとして抗弁できます。
4. 実務対応(推奨フロー)
- 証拠の確保:請求書・メール・通話録音・訪問記録を保存。
- 支払拒絶通知:契約の不存在/同意の欠如を明示(書面・メール)。
- 再請求・威迫への対処:以降は書面のみで応答、録音・記録を継続。
- 通報・相談:悪質なら警察(生活安全課/サイバー対策)・消費生活センター(188)・所轄の行政窓口へ。
5. 参考:簡易通知文例
件名:契約の不存在および請求拒絶の通知 貴社からの請求について、当方は貴社と当該業務に関する契約を締結しておりません。 署名済み契約書・注文書・同意を示す記録は存在せず、支払義務はありません。 以後の請求・威迫的連絡は一切お控えください。必要に応じ、所轄機関へ通報いたします。
6. まとめ
契約書も明示同意もない請求は、原則として支払不要です。
焦って支払うのではなく、証拠の確保→契約不存在の通知→必要に応じ通報の順で、冷静に対処してください。
よくある質問
Q. 契約書がなくても口頭で契約は成立しますか?
A. 口頭合意でも成立はあり得ますが、仕事内容・対価・期間等の具体的合意の証拠が必要です。証拠がなければ請求側が立証できず、支払義務は認められにくいです。
Q. 「払わなければ法的手段」と言われた場合の対応は?
A. 契約根拠の提示を求め、以降は書面のみで応答してください。威迫が続く場合は脅迫罪の可能性があるため、録音・保存の上で警察や弁護士へ相談します。
Q. すでに支払ってしまったお金は取り戻せますか?
A. 契約が存在しない、または詐欺・強迫による同意であれば、取消(民法96条)や不当利得返還請求(民法703条)の対象になり得ます。早期に証拠を整理して専門家へ。
