編集・監修:株式会社しごとウェブ
広告運用を代理店へ委託するときは、代理店との契約条件に加え、GoogleやLINEヤフーなど広告媒体の規約・ポリシーも確認する必要があります。
特に、広告費として支払った金額のうち、媒体に実際に支払われた額、代理店の手数料、未配信・未消化分を区別して確認できることが大切です。
このページでは、Google広告の第三者ポリシーに明記されている情報開示事項と、LINEヤフー広告の規約・契約上確認したい点、および返金拒否や目的外使用が疑われる場合の民法・刑法・会計基準上の法的論点を分けて解説します。
広告費の流用や返金拒否については、媒体規約だけで結論が決まるものではありません。契約内容、請求・配信記録、当事者間の説明を照合して確認してください。
本ページは、広告媒体社の公式規約・ポリシーおよび法令・公的資料をもとに、株式会社しごとウェブ編集部が要点を整理したものです。
媒体規約は改定されることがあります。実際の契約や個別事案については、契約書と最新の公式情報を確認し、必要に応じて弁護士・税理士などの専門家へご相談ください。
1. Google広告の第三者ポリシーで定められていること
Google広告を広告主に代わって購入・管理する事業者には、Googleの「サードパーティ ポリシー(第三者ポリシー)」が適用されます。
同ポリシーは、広告主が判断に必要な情報を得られるよう、費用・掲載結果・手数料などの厳格な透明性を求めています。
Google広告の費用と掲載結果をどう報告するか
Googleのポリシーでは、広告主との利用規約上、月次の掲載結果レポートが必要な場合、Google広告アカウント単位で費用・クリック数・表示回数を含めることとされています。
Google広告費を報告する際は、Googleから請求される金額(媒体実費)を正確に示し、代理店が請求する手数料をその金額に混ぜないよう明確に義務付けています。
Googleの第三者ポリシー違反報告フォームでも、広告主へのアカウント単位の費用・クリック数・表示回数の月次報告が必須要件として案内されています。
- 媒体費:Google広告アカウントで実際に発生した費用として確認できる正確な金額(代理店の利益や手数料を上乗せして媒体費と偽ることは禁止)
- 代理店手数料:媒体費とは明確に分けて示す運用・管理の料金
- 掲載結果:アカウント単位の正確な費用、クリック数、表示回数など
報告方法は、メールやウェブ上のレポートで確認できるようにする方法のほか、広告主が自分のGoogle広告アカウントにログインして確認できるようにする方法も示されています。
したがって、管理画面の閲覧権限を付与する方法だけが唯一の方法ではありません。ただし、「運用ノウハウの保護」などを理由にして、Googleから請求された正確な広告実費やアカウント単位の基本実績データまで秘匿することはポリシー上認められていません。
手数料・お客様IDについて
- 管理手数料:Google広告費とは別に管理手数料を請求する場合、顧客に事前に知らせる必要があります。新規顧客には少なくとも初回の営業活動前に書面で伝え、請求書にも媒体費と明確に区分して記載することが求められています。
- お客様ID:広告主から求められた場合、代理店はGoogle広告アカウントのお客様ID(10桁の識別番号)を提供する必要があります。IDを開示しない行為自体がポリシー違反となるほか、IDが分からないままでは広告主がGoogleへ直接照会しにくくなるため、契約・運用開始時に必ず書面で確認しておきましょう。
- 広告主向けガイド:小規模・中規模の広告主を主に支援する事業者には、一定の条件のもとでGoogleの広告主向け第三者利用ガイドを顧客に提示する要件があります。
Googleが違反報告の対象として挙げている行為と制裁措置
Googleの第三者ポリシー違反報告フォームでは、次のような内容を報告項目として挙げています。
代理店がこれらのポリシーに違反しているとGoogleが判断した場合、Google Partnersバッジ(認定資格)の剥奪、代理店管理アカウント(MCC)の停止、または広告配信およびアカウント管理権限の永久凍結といった厳格な措置が講じられることがあります。
- Google広告の掲載結果および実際のGoogle広告費について、適切な情報が提供されない
- 不正確または誤解を招くレポートが提供される(実費の水増しや虚偽の消化報告など)
- Googleとの関係やGoogle広告の機能について、事実と異なる説明がある
- 不明確・欺瞞的・迷惑な営業が行われる(実現不可能な成果の保証や強引な勧誘など)
- Google広告アカウントが不適切に使用される(お客様IDの開示拒否など)
- プロモーション特典やGoogleのブランド表示が不適切に利用される
Googleの公式情報:
Google サードパーティ ポリシー
広告主様向けの第三者利用ガイド
Google広告 サードパーティ ポリシー違反の報告フォーム
2. LINEヤフー広告で確認したい規約・契約上の事項と法的性質
LINEヤフー広告には「広告取扱基本規定」などの規約があり、広告商品ごとに関連する規定・基準が設けられています。
Googleの第三者ポリシーにある月次報告や手数料表示の条件が、そのままLINEヤフー広告にも適用されるわけではありません。対象サービスの最新規約と、広告主・代理店間の契約をそれぞれ確認してください。
LINEヤフーの広告取扱基本規定では、Yahoo!広告の契約当事者を「広告主」に統一し、代理店は広告主から付与された代理権限に基づいてアカウント運用や申込み等の手続きを行う仕組みが定められています。
「広告主が契約当事者」であることの民法上の意味
規約上、広告アカウントにおける媒体社との契約主体が「広告主自身」であり、代理店はその「代理人(または準委任契約上の受任者)」として位置付けられる場合、法的には以下の義務と責任が明確になります。
- 善管注意義務と顛末報告義務(民法第644条・第645条): 代理店は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって広告運用事務を処理する義務(善管注意義務)を負うとともに、本人である広告主から請求があるときはいつでも広告運用の処理状況や費用の消化実態を正確に報告する義務(報告義務)を負います。
- 代理権の濫用と忠実義務違反(民法第107条・第644条): 広告主から預かった代理権限や資金を、広告主の利益のためではなく、代理店自身が不当に中抜き・着服する目的で行使したり、本人である広告主に対して自社のアカウント状況や媒体実費を秘匿したりする行為は、受任者としての忠実義務・善管注意義務に真っ向から反する行為と評価されます。
このため、契約前・運用開始前に、少なくとも次の点を広告主と代理店の書面で確認してください。
- どの広告商品・広告アカウントを使って配信するか(アカウントIDの特定)
- 広告主名義・代理店の権限・アカウント管理者をどう設定するか
- 広告費(媒体実費)、運用手数料、制作費などをどのように区分して請求・報告するか
- 広告主が配信実績や費用を確認する方法と、報告の頻度
- 契約終了時のアカウント、データ、未使用残額の精算・返還条件
LINEヤフー広告の公式情報:
LINEヤフー for Business 規約・ポリシー
LINEヤフー広告をご利用中の広告主向け問い合わせ窓口
3. 広告費の「入金額」と「媒体への支払額」を照合する
代理店から広告費の請求を受けたら、総額だけでなく、媒体費・代理店手数料・制作費・その他の費用を分けて確認します。
「広告費」として請求された金額については、対象期間と広告アカウントを特定し、媒体側の費用データや配信レポートと照合できる資料を求めてください。
Google広告の場合、ポリシー上の報告要件に沿ったアカウント単位の費用・クリック数・表示回数を、広告主が確認できる形で受け取ります。
管理画面へのアクセスを依頼する場合も、広告アカウントの権限設定や機密情報の範囲を確認し、メール等の報告を受ける場合は、アカウント単位・対象期間・費用の内訳が分かる内容かを確認してください。
- 代理店への請求書・見積書・契約書
- 代理店へ支払った金額と支払日が分かる振込記録
- 媒体名、広告アカウント、対象期間が特定できる費用・配信レポート
- 広告主が確認できる管理画面または媒体データの報告方法
- 媒体費と代理店手数料・制作費が区分された請求明細
独自レポートによる虚偽報告・数値改ざんの法的リスク
代理店が媒体社の管理画面データを一切開示せず、独自に作成したExcelやPDF等のレポートのみを提示している場合は、その数値の元になった媒体側の公式データ、対象アカウントID、期間、費用の算出根拠を質問し、回答を書面で保存します。
独自レポートであること自体が直ちに違法とは限りませんが、万一、実際には媒体へ出稿していない(または少額しか出稿していない)にもかかわらず、予算全額を消化したかのように装った虚偽の数値を記載して報告していた場合、単なる契約上の報告義務違反(民法第645条違反)にとどまらず、不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)や、広告主を錯誤に陥れて金銭の返還請求を免れようとする欺罔行為(詐欺罪・刑法第246条の裏付け事実)として重大な法的責任を問われる根拠となります。
4. 未配信・未消化分と返金を確認する(契約書の「返金不可条項」の法的解釈)
広告費を前払いする契約では、契約書・見積書・申込書に、媒体費として充てる金額、代理店手数料、配信期間、未配信・未消化分の精算方法を記載してもらいましょう。
契約終了時に返金があるか、翌月以降へ繰り越すのか、精算期限や控除費用があるのかも、契約前に確認します。
代理店から返金を断られた場合は、まず書面で次の資料・説明を求め、契約内容と照らし合わせてください。
- 請求額のうち、媒体へ実際に支払われた金額と対象期間
- 運用手数料・制作費など、媒体費以外の請求内訳
- 未配信・未消化分の金額と、返金または繰越をしない契約上の根拠
- 精算額の計算方法と、媒体データなど根拠資料
- 返金・精算を求めた日と、代理店からの回答
契約書の「返金不可条項」がそのまま有効とは限らない理由(民法・景表法上の整理)
代理店側が「契約書に『いかなる理由があっても返金しない』と記載されている」ことを理由に、未配信・未消化分の広告費の返還まで拒否するケースや、逆に解約を申し出た広告主に対して高額な違約金を請求するケースがありますが、法的な観点では契約条項の文言だけで結論が一律に決まるわけではありません。
- 委任・準委任契約における受任者の報告義務と前払費用の精算(民法第645条・第649条・第650条): 広告運用代行契約は一般に「準委任契約(民法第656条)」の性質を持ちます。受任者(代理店)には委任事務の処理状況を報告する義務(民法第645条)があり、委任事務を処理するために前払いされた費用(媒体へ支払う広告実費)が実際には支出されずに残っている場合、受任者はその残額を精算・返還する法的な義務を負います。
- 債務不履行による解除と原状回復・不当利得返還請求(民法第541条・第545条・第703条): 約束された広告配信自体が行われていない、または合意した予算の大部分が出稿されていない場合、契約の本旨に従った履行がなされていない(債務不履行)として契約解除および原状回復義務が生じるほか、法律上の原因なく保持している金銭として不当利得返還請求(民法第703条・悪意の受益者の場合は第704条により利息および損害賠償を付して返還)の対象となり得ます。
- 「返金不可条項」の射程と公序良俗違反(民法第90条)・詐欺取消し(民法第96条): 一般に広告契約における「返金不可」とは、「約束通り媒体へ広告を出稿したものの、期待した反響や売上が得られなかった場合でも既出稿分の返金はしない」という趣旨で解釈されます。媒体へ出稿すらしていない前受広告費を代理店が一方的に没収するような条項の解釈・運用は、信義則(民法第1条第2項)や公序良俗(民法第90条・暴利行為)に反し無効と判断される可能性が高いほか、当初から虚偽の説明で契約させた場合は詐欺による取消し(民法第96条)の対象となります。
- 代理店側の債務不履行がある場合の「違約金請求」の制限: 代理店側が正確な配信実績の報告を拒んだり、合意した広告出稿を行っていなかったりする場合、債務不履行を起こしているのは代理店側です。それにもかかわらず、不信感を抱いて解約を申し出た広告主に対して代理店が「中途解約の違約金」を請求することは、信義則(民法第1条第2項)および権利の濫用(同第3項)として法的に認められない可能性が極めて高くなります。
- 極端な低手数料(例:5%等)や無料特典を謳う勧誘と有利誤認(景品表示法第5条): 業界相場(20%前後)より極端に低い手数料や高額なLP制作の無料提供を強調して集客しながら、実際には別途の名目で高額な費用を差し引いていたり、広告主から預かった広告予算の大部分を出稿せずに中抜きして利益を補填していたりする場合、取引条件について実際のものよりも著しく有利であると誤認させる「有利誤認表示(景品表示法第5条第1号)」や民法上の詐欺・錯誤取消しの問題となります。
5. 広告費の目的外使用が疑われるとき(会計基準および刑事法上の論点)
契約や請求書で特定の広告配信に充てるとされた金額について、媒体への支払額・配信実績が説明と合わない場合は、まず対象期間、広告アカウント、入金額、媒体費、手数料、未使用残額を一覧にし、代理店へ根拠資料と精算説明を求めます。
会計上の区分(「預り金」か「売上」か)と法的リスクの整理
日本の会計基準(企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」における本人と代理人の区分)では、広告代理店が広告主から受け取る資金のうち、自社の「売上(収益)」として計上できるのは原則として「運用代行手数料等の純額のみ」であり、媒体社へ支払うために前受けした広告実費分は「預り金(または前受金等の負債)」として区分処理することが求められます。
万一、代理店が広告主から広告費名目で受け取った資金を実際の広告配信に充てず、返金も拒否して自社の運転資金や利益に流用している疑いがある場合、代理店側の会計処理や当初の意図によって、以下の2つの重大な法的問題(刑事・民事責任)が論点となります。
- ① 会計上「預り金」等として保有しつつ自社へ流用している場合(業務上横領罪・刑法第253条の論点): 媒体社への支払いに充てるべき他人の資金(使途が特定された預り金)を業務上保管しながら、広告出稿に充てず自社の経費や利益へ不法に領得したと評価される場合、業務上横領罪(10年以下の懲役)の構成要件が問題となります。
- ② 当初から広告費分まで自社の「売上」に計上し、出稿せず返金も拒否している場合(詐欺罪・刑法第246条および粉飾決算の論点): 仮に代理店側が「預り金ではなく最初から自社の売上として処理しており、契約書に基づき返金しない」と主張する場合であっても、営業時に「手数料は5%〜10%(残りは媒体への広告費)」等と説明して資金を振り込ませていながら、実際には大部分を広告出稿に充てる意思がなく自社の売上に取り込んでいるのであれば、当初から広告主を欺罔して金銭を交付させたとして詐欺罪(10年以下の懲役)の構成要件が問題となります。また、代理店取引において媒体費相当額を自社の売上高に算入し、実態のない売上規模を装う処理は、収益認識会計基準に反する売上の過大計上(不適切会計)としても問題視されます。
いずれのケースに該当するかも含め、単なる連絡遅延や認識違いなのか、組織的な不正・不法行為なのかは、具体的な契約書、見積書、営業時の説明記録、振込明細、および媒体社側の実際の配信データを照合して判断されます。当事者間で犯罪と断定するのではなく、客観的な証拠資料を一式そろえたうえで弁護士や警察(知能犯係)へ相談してください。
6. 媒体規約上の問題と返金・法的問題を分けて考える
| 確認したい事実 | 主な確認先・法的論点 |
|---|---|
| Google広告の費用・掲載結果が報告されない、またはレポートが不正確 | Google第三者ポリシー違反(認定剥奪・アカウント停止等の対象)および民法第645条(報告義務違反)。違反報告フォームへ申告。 |
| Google広告の手数料が事前に説明されず、請求書にも区分されていない | Google第三者ポリシーの手数料開示義務違反。極端な低手数料表示で中抜きしている場合は景表法第5条(有利誤認)や詐欺の論点。 |
| LINEヤフー広告のアカウント・代理権限・費用報告の扱いが不明確 | 広告取扱基本規定および民法第644条(善管注意義務)・第107条(代理権濫用)の論点。LINEヤフー広告の窓口へ照会。 |
| 広告費の未使用残額が返金されない(契約書の返金不可条項を主張される) | 民法第650条(前払費用の精算)、第541条(債務不履行解除)、第703条(不当利得返還)、第90条(公序良俗違反による条項無効)の論点。 |
| 広告費が契約上の使途と異なる形で扱われた(中抜き・未出稿の)疑いがある | 預り金流用なら業務上横領罪(刑法第253条)、最初から売上計上し不返還なら詐欺罪(刑法第246条)および不法行為(民法第709条)の論点。 |
7. Googleへ違反を申告するときに準備する資料
Googleの違反報告フォームでは、違反に気づいた時期・経緯の説明と、代理店の管理業務を裏付ける資料の提出が案内されています。
次の資料をそろえ、事実と推測を分けて記載してください。
- 代理店名と広告主名が分かる契約書・請求書・見積書
- 代理店から受け取ったレポートや費用明細
- お客様ID、対象広告アカウント、対象期間(IDが開示されない場合はその旨)
- 管理画面や媒体データの開示を求めたメール・チャットと代理店からの回答(拒否・無視の記録)
- 広告費の支払記録と、返金・精算を求めた記録
申告先:
Google広告 サードパーティ ポリシー違反の報告フォーム
Googleへの申告は、Google広告の第三者ポリシーに関する調査および代理店への是正・制裁措置を求めるものです。
代理店との契約上の返金紛争について、Googleが返金額を決定したり、返金を命じたりする手続きではありませんので、返金請求については並行して弁護士や警察へ相談してください。
8. 広告代理店と契約する前に書面で確認する項目
- 広告媒体ごとの予算額、運用手数料、制作費、初期費用の正確な内訳
- 相場より極端に低い手数料(例:5%〜10%)や無料制作枠がある場合、その採算構造と別途費用の有無
- 広告主が配信状況と媒体実費を確認する方法(管理画面の閲覧権限または媒体公式データの提出)
- レポートの項目、対象期間、提出頻度
- Google広告のお客様ID(10桁)を確認・共有する方法
- LINEヤフー広告などのアカウント名義・代理権限・管理者
- 未配信・未消化分の返金または繰越条件と、代理店の会計上の区分(預り金か売上か)
- 解約の申出期限、違約金・解約費用の有無と計算方法
- 契約終了時の広告アカウント、データ、クリエイティブの引渡し条件
口頭で説明された条件は、見積書・契約書・申込書にも記載されているか確認し、書面にない説明はメールなど記録に残る方法で確認しましょう。
よくある質問
Q. Google広告では、代理店に管理画面を共有してもらう必要がありますか?
A. Googleのポリシーは、費用・掲載結果を広告主が確認できる方法として、メールやウェブ上のレポート、広告アカウントへのログインなどを示しています。管理画面の共有だけが唯一の方法ではありませんが、Googleから請求される正確な媒体費(手数料を混ぜない金額)とアカウント単位の掲載結果が確認できる状態にする義務があり、お客様IDの開示も求められています。
Q. 未消化分の広告費について返金を断られたら、媒体規約違反や法的な問題になりますか?
A. 返金の可否は媒体規約だけで一律に決まるものではありませんが、実際の媒体出稿額や手数料の内訳を明示せずに精算を拒む場合は、Google広告の第三者ポリシー(費用の透明性・報告義務)に違反する可能性があります。また、契約書に「返金不可」といった条項がある場合でも、実際に広告配信に充てられていない未消化分の前受資金については、民法上の準委任契約における費用精算義務(第645条・第650条)や債務不履行(第541条)、不当利得返還請求(第703条)、公序良俗違反(第90条)の対象となり、返金拒否が法的に認められないケースがあります。Googleへの第三者ポリシー申告と並行して、配信実績の根拠資料を書面で求め、弁護士へ相談してください。
Q. 広告費が配信されていない場合、横領や詐欺に当たりますか?
A. 配信されていない、または返金されないという事実だけで直ちに犯罪と決まるわけではありませんが、資金の会計上の扱いや当初の勧誘経緯によって重大な刑事・民事上の問題となり得ます。まず、日本の会計基準(収益認識会計基準)では、代理店が媒体社へ支払うために受け取った広告実費分は「預り金(負債)」等として区分し、自社の売上には手数料分(純額)のみを計上するのが原則です。使途が特定された預り金として保管しながら、無断で自社の運転資金や利益に流用した場合は業務上横領罪(刑法第253条)が論点となります。一方、営業時に「手数料は●●%(残りは広告費)」等と説明して資金を振り込ませておきながら、最初から広告出稿に充てる意思がなく全額を自社の「売上」に計上し、契約書の返金不可条項を盾に返還を拒んでいる場合は、当初から広告主を欺いて金銭を交付させたとして詐欺罪(刑法第246条)の構成要件が問題となります。契約書、見積書、営業時の説明記録、振込明細、媒体の配信データをそろえ、弁護士や警察(知能犯係)へ相談してください。